影向(ようごう)とは、神仏が一時姿を現すことを意味します。
影向(えごう)、あるいは「ヨウコウ」と発音することもあります。
春日大社一の鳥居近くにある影向の松。
奈良の春日大社に鎮まる影向の松付近は、12月の春日若宮おん祭の際には注目が集まる場所として知られます。祭事の観覧席がこの辺りに設けられ、頭屋児が陣取る聖なる空間となります。
影向の松は春日明神が鹿島から来臨した際の依代とも、この場所で春日明神が翁の姿で舞を舞ったとも伝えられます。
興福寺東金堂。
興福寺や薬師寺のような古代寺院には、影向戸(ようごうど)が存在しています。仏堂の背後の後戸脇に扉があって、護法神の出入口とされます。目には定かに見えねども、その存在感には圧倒されます。
兵庫県姫路市の射楯兵主(いたてひょうず)神社では、影向祭(一ツ山大祭)という臨時祭が催されているようです。
影向とは、いかにも神々しい雰囲気のする言葉ではないでしょうか。