深海魚のタナカゲンゲを見ていると、なぜか現化(げんげ)という言葉が頭をよぎります。
底引き網で引き上げられ、雑魚として取り扱われるタナカゲンゲですが、お鍋の季節には欠かせないとてもいい出汁の出る魚として知られます。
タナカゲンゲの名前の由来は、魚類学者の田中茂穂氏に因みます。
ゲンゲとは下魚(げぎょ)の転訛した呼び名ですが、神仏が形を代えてこの世に現れる現化(げんげ)にも通じるような不思議な魅力に満ちています。
狐を思わせるタナカゲンゲの顔。
その細い目は、どこかドロンと化けるキツネの目にも似ています。
「現化(げんげ)の下魚(げんげ)」、まさしくそんな感じがします。
この世のものとは思えない、キツネにつままれたような錯覚に陥ります(笑)
タナカゲンゲの内臓。
老婆の顔にもよく似ていることから、ババチャンという異名も併せ持ちます。
オホーツク海や日本海で漁獲されるタナカゲンゲは、冬に食してみたい魚の代表格でもあります。
タナカゲンゲの腹部。
タナカゲンゲをスーパーで見掛けたら、迷わず購入してみましょう。
お値段も庶民的ですので、全く躊躇する必要はありません。