江戸時代には端午の節句によく用いられたというカサゴ(笠子)。
背びれの鋭い棘などを見ていると、その勇ましさが伝わって参ります。男の子の節句のお祝いに登場するのも頷けますよね。
カサゴは卵胎生の魚として知られます。
体内受精を行い、卵ではなくて仔魚を生みます。
頭が大きくて笠をかぶっているように見えることから、笠子(かさご)という漢字が当てられます。棘があって模様も華やかで、さらに頭部も大きいとくれば、権威あるものをたのんで威張ることを意味する「笠に着る」という言葉が連想されます。
カサゴの胸鰭。
カサゴはまた、瘡魚(かさご)という漢字を当てることもあります。
瘡(かさ)とは皮膚病を意味する総称で、所謂(いわゆる)できもののことですよね。瘡は梅毒の俗称として使われることもある言葉です。
体の表面に見られる複雑な斑紋から、爛れた皮膚が想像されるのでしょうか。瘡を掻いている人のことを瘡掻(かさかき)なんて言ったりしますが、聞いているだけで痒くなってくる名前です(笑)
カサゴの煮付け。
カサゴ料理の定番である煮付けです。
メバルの形にも似ていることから、アカメバルと呼ばれることもあるカサゴ。淡白で上品な白身は、魚嫌いの人にもおすすめしたいほどの絶品です。
カサゴの名前の由来を知るだけでも、なんだか世界が広がったような気が致します。