たんころとは、小さな丸い壺の中に灯心を立てて燃やす江戸時代の照明器具のことを言います。
瓢箪ころりんから転じて、”たんころりん” とも呼ばれます。
奈良県の安堵町歴史民俗資料館で販売されていた「たんころ」。
藺草(イグサ)の髄に当たる灯心を、たんころの穴に通して立てかけます。菜種油等を注いで、灯心に油を吸わせて火を付けます。わずかな灯りではありますが、ほの暗い中にも風情の感じられる道具です。
ちなみに家庭のサラダ油でも代用できるようです。
たんころに立てるのが、この切り灯心。
藺草(イグサ)の芯に当たる部分に、このような白い灯心が入っています。
写真の背景には、安堵町の産土神である飽波神社。
安堵町では、「灯芯ひき」と言われる伝統産業が今に伝えられています。水に浸したイグサを「ひき台」と呼ばれる道具の刃を使ってその外皮を引き裂き、中にある髄を切断することなく引き出します。
たんころは未来にも残しておきたい伝統の逸品です。