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さやけしの意味

古語の世界には「さやけし」という言葉があります。

さやけしとはどういう意味を持つ言葉なのでしょうか。

万葉庭園の梅の花

さやけしを漢字に当てると、「明けし(さやけし)・清けし(さやけし)」といったニュアンスになります。

つまり、その意味するところは「清明である、すがすがしい」といった感じです。

万葉集の歌に、

春の日は山し見がほし、秋の夜は川しさやけし

というのがあります。

秋の夜の川は清々しいと詠っています。現代に置き換えてみても、その情景が浮かんでくるような気が致します。暑い夏を終えて迎える秋の夜は格別ですよね。

この歌にある「し」は副助詞で、その文節を強調する役割を持ちます。

~こそ、~さえといったニュアンスで山や川を強調しています。

万葉文化館館内

奈良県高市郡明日香村の万葉文化館。

館内の一般展示室には、「さやけしルーム」と呼ばれる場所が設けられています。

古代人たちが体感したであろう自然界の音や雰囲気に身を任せるリラックス空間です。さやけし川のせせらぎに耳を澄ませ、日常の喧騒から解き放たれます。

ちなみに ”山し見がほし” の「見が欲し(みがほし)」とは見たいという気持ちを表しています。みがほしとは、何とも魅力的な響きですよね。見たいと思う時に表現する他動詞は、「みがほる」となります。

山しみがほし、川しさやけし。

古代の言葉の響きに耳を澄ませば、日本人の心が蘇って来るような気が致します。

さやけしで思い出すのが、現代の女性の名前によく見られる「さやか」ではないでしょうか。さやかにも、明るくはっきりとした様が感じ取れます。現代女性のさやかさんの名前の由来は、「川しさやけし」から来ているのかもしれませんね。

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2016年03月14日 16:23に投稿されたエントリーのページです。

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